今日紹介していくRPGはある青年実業家が
友人の情報を元に翻弄されてしまう姿を描いた
「四月病患者」です。
すきっぱーさんが2017年4月30日に公開された
超短編RPG作品です。
主人公は、青年実業家。魔王が住む裏庭の近くで
起業してる彼は、魔王との薬草取引で収入を確保し、
会社を経営していました。
そんな彼に入った、一本の電話。
話によれば、魔王への取引に使っていた
薬草を取り扱っている場所で暴動が起こり、
薬草が確保できない恐れがあるとのこと。
でもこの辺の裏山には薬草生えてるし、
自社には元戦士などの社員もいる。
自身で薬草取に行けばいいと考えた主人公は、
社員とともに裏庭へ向かい、薬草を採取するのでした。
本作品は実力豊富な社員たちを連れ、
裏山の奥地へと向かう姿を描いた短編RPG。
マルチエンドを採用していますが、
総プレイ時間自体は5分~10分程度で終わるような
規模の作品になっています。
その理由は、少ないマップとシンボルエンカウントを
採用しているバトルシステム。
歩いている敵に接触すると、フロントビュー・ターン形式の
ツクールMVデフォルトのシステムを採用したバトル画面に入るのですが、
基本的には戦闘せずにクリアできるような内容になっています。
(敵と戦っても、経験値などは貰えません)
そのため、基本は避けて進んでいくことになるので、
アドベンチャーよりなRPGに感じるかもしれません。
プレイヤーは様々な実績を持つ社員を
仲間として連れて行くことも可能。
薬草を手に入れることはできるのでしょうか。
薬草×4月病の個性的な視点 プレイしやすい仕掛けは欲しかったかも!
本作品は裏山薬草フェスという、ユーザーさん企画の
ゲーム投稿イベントで投稿されている作品の一種。
同時期に色々な薬草シナリオが投稿されていたのですが、
一般的なRPGなどを見ても、薬草を魔王側とやりとしているという
視点のシナリオは珍しい印象を受けました。
この設定は薬草を取りに行くという、シナリオが動き出す
きっかけにもなっていますし、魔王とやり取りもやっていて平和で
冒険者たちも社員になっているというような設定にも
つながり、自然な設定の数々に結びついており、短い時間ながらも
違和感のないスタート設定になっている印象でした。
4月病という、季節ワードもうまくシナリオに絡ませている
ような点も、季節イベントらしさが出ている印象があります。
ただ、薬草にたどり着いてからの展開が
ちょっとわかりにくさがあった印象も。
冒頭の会話を活用し、トゥルーエンドを見ることで
「そういう風に見えるのか」というのを狙っていると思うのですが、
冒頭シーンだけでは予期しづらかった点があった印象も。
特に、終盤の大きな展開時に自由移動が挟まれ、
何をすればいいの?と思ってしまう感じもあり、ちょっと間が
空いてしまう可能性もあった気がしました。
エンディングも普通に進めてしまうと
バッドエンドになりがちな印象だったので、
もうちょっと想像できるような要素を散りばめるか、
終盤一気に進ませて考えさせる余裕もなくすような
テンポで進めた方が、気軽な短編範囲でより物語が
わかって良かったのかなぁと思いました。
まとめ
薬草を取りに行くという背景を
魔王と取引のある青年実業家と上手く組み合わせ、
短いながらも世界観が入って来やすいように
上手く仕組み作りしている独創的な感じも受ける作品。
やや後半の展開が少々わかりにくい点もありましたが、
同じテーマでも視点を変えることでこんな物語も作れるんだと
感じることもでき、短編というシナリオ説明部分の少ない箇所で
上手くシナリオと世界観を結びつけている点が勉強にもなる
フリーゲームではないかと思いました。