10月最後のフリゲ感想は、リクエスト頂いた「【探索謎解きホラー】Dance in the “mort”」です。

【探索謎解きホラー】Dance in the "mort"

過去のコンテスト受賞者を中心に、フリゲ運営会社さんの支援などが入った企画「ホラーゲームトリビュート」の参加作品の一つ。ひここまれていくような世界観の作品が多いまかぼとさんの作品。2017年8月30日に公開されたフリーゲームとなりまして、現在ではふりーむさんダウンロードした状態でプレイできるようにもなっています。

追いかけっことか、意表を突く感じで直接的・おばけ的な怖さを楽しむようなホラーゲーム系の作品ではありません。医学や科学が発展しきれておらず、宗教などが強い立場を持つような中世ヨーロッパのような世界観を背景に、少しドキッとするような演出を見ながら物語の背景を暴いてくような探索アドベンチャー。迷い込んだ屋敷の中で、「人間的な奇妙さ」「何かがありそう」「何かが起こりそう」なホラー要素を感じていくような物語重視のフリーゲームです。

実際の物語を少し紹介していきます。道に迷い込み、森のなかにある屋敷を見つけた少女・アンナ(自称)。森のなかに佇むその屋敷に興味が湧いたアンナは、好奇心を後押しするような理由を並べ、その屋敷へと足を踏み入れることにします。

屋敷へと入ったアンナの目の前にはある青年が。青年の話によると、アンナはこの屋敷に閉じ込められてしまったとのこと。入り口の扉へと手をかけても出れません。そんな彼女に対し青年は「地下通路」の存在を教えてくれます。

しかし、地下通路には鍵がかかっているとのこと。

青年の話によると、地下の鍵は2階にあるとのことですが、好きに屋敷を探索してもいいとのことでした。

好奇心旺盛なアンナを操作し、探索するか。それともまっすぐ脱出を試みるか。森に佇む怪しくも小さな屋敷を舞台に、この物語は始まっていきます。

Dance in the “mort”は様々なポイントを調べたり、屋敷内の様々なポイントに移動していくことで屋敷の背後に隠れた物語を楽しんでいくことができる探索ホラーゲームです。

行動した内容や選択肢によって複数のエンディングが用意されており、タイトル画面などのエンディングヒントなども活用しながら物語を楽しんでいくことが可能です。

アンナ(名前変更可能)な少女が主人公の作品となっていますが、アンナは好奇心旺盛な面も強く、ちょっとあれな感じの主人公でもあります。

屋敷の中で出会った謎の青年、地下牢にいた神父、そして起こっていく怪奇にも見える不可解な現象。ちょっとした行動が、思いもよらないことにつながることも。

屋敷を巡り、この物語の真相を体験していきましょう。

周回プレイで視点も変わる? 細かい伏線も多い探索ホラゲ


本作品は屋敷内の様々なポイントやオブジェクトを調べていくことで物語が進んでいくような探索要素を踏まえた物語重視に見えるような作品です。

迷い込んだ屋敷から出ることができず、脱出が目的で始まっていく物語ですが、その過程で倒れていた神父との出会いが、大きく物語を揺れ動かしていきます。

謎解き探索ゲームという内容になっていますが、仕掛けやギミックを重視しているというよりかは、物語の謎を感じていくような要素が強く、ちょっとした伏線が多数仕掛けられている印象があります。

屋敷自体の部屋数は5部屋ぐらいですし、数字入力やなぞなぞと言った要素は1箇所あるかなぁ……ぐらい。詰まったら屋敷内を再探索して情報を整理したり、突破口になりそうなポイントを探すぐらいでゲーム自体は進めていくことができるかと思います。

テンポよく進んでいくのですが、テンポよく進めば進むほど、「何かある」「どういうこと?」と思うような怪しいポイント、疑惑や疑問を感じさせる要素が少しずつ増えていきます。最初はなんだろうと思っていたような要素も次第に点と点が線で結ばれていき、「あー、ここはこういうことだったのか!」と思われるような要素も多め。

そして、そんな物語に引き込んでいる過程でゾクッとしてしまうような描写や明らかにアレな感じの忠告など。世界に引き込まれていき、先の展開が気になる中で、「何か起こるぞ」「それでいいのか?」と思わせるような仕掛けや演出が用意されています。イラストなどもポイントポイントで活用されており、演出一つ一つがとても丁寧です。

最初はなんだかよくわからず、得体のしれないような怖さも感じる雰囲気とどういう背景があるのかわからないことがより物語の雰囲気を作り出してくれていますが、少しずつ明らかになっていく展開はどんどんと尻上がりに目を釘付けにしてくれます。伏線になっているような要素が多いので、最初は点を拾って推理しつつ物語特有の恐怖感も感じながら物語を進め、二週目として伏線一つずつをしっかりと拾っていくような楽しみ方ができると思います。

青鬼とか、バイオハザートのようなガチ怖さ!というよりかは、中世ヨーロッパ的な世界観の元、わからないけど深い物語に恐怖を感じていく。グリム童話的な怖さとかも感じるフリーゲーム。読み進めていくことで真相がわかるような、物語性の高い何とも言えないホラーを感じられる作品です。

まとめ


怪奇小説を読み進めていくがごとく、雰囲気の怖さを感じながらわからない怖さにもつながるような点を拾っていく、物語重視な探索ゲーム。拾った点を元に想像する過程で起こる、驚きや想像の感性を刺激するような少し怖さも感じる演出とともに、ドキドキしながら世界へと引き込まれていくようなホラーテイストな探索アドベンチャーです。

主に宗教的な世界観のあるような作品が好きな方や小さなヒントを集めつつ、怪奇な状態の真相に迫っていくような雰囲気の作品が好きな方へ特にお勧めなフリーゲームだと思います。

ちなみにプレイ時間は自分初回本編の結末がわかるようなエンドまで60分ほど、エンディング回収なども含めると75分ほどかと思います。

この作品が好きなあなたへお勧めのフリーゲーム