今日紹介していくフリーゲームは、リクエストを通じて頂きました、「誤認の上にて」です。

誤認の上にて

RPGやアドベンチャーを制作され、受賞経験も豊富なKikkantenさんの探索アドベンチャー作品です。2016年9月にふりーむさんでツクールVX Ace作品として公開され、2017年6月にプラウザ版がRPGアツマールさんで公開されています。

参照: 誤認の上にて PC版(ふりーむさん)

今回はアツマール版をプレイしましたので、プラウザ版でのプレイ感想とさせて頂きます。

物語は探しものをしていた青年の元に、神官の女の子がやってきたところから始まります。どうやら教会のエアコンが壊れてしまい、暑さ回避のために教会へもよく来る青年のもとにやってきたとのことでした。

そんな神官さんは滞在のお礼としてお手伝いを申し出ます。ちょうど鍵を探していた青年は神官さんに鍵探しのお手伝いをお願いします。こうして、青年と神官さんは一緒に青年の家の中を調べていくことになるのでした。

「誤認の上にて」は青年と神官が一緒に室内を探索するワンマップのアドベンチャーゲームになっています。様々なポイントを調べることで、青年と神官の会話が表示。

青年と神官さんはある程度親しい間柄なので、日常的な会話のやり取りが楽しめます。しかしながら……

中には少し違和感を感じるようなポイントも……。

マップ自体はコンパクトですが、調べることで会話が見れるポイントも多め。会話内容も楽しみつつ、怪しいポイントは色々と想像しながら鍵探しをしていきましょう。

ゾッとする想像を活用したテキストが凄い!


「誤認の上にて」は青年の家の中で様々なポイントを調べ、会話を発生させていくという印象の強い、探索アドベンチャーです。

青年と神官さんはよく相談しに行く仲で、プライベートのことに対しても受け入れてくる神官さん。二人の会話はどことなく日常的なんですが……。

マップのデザインによる仕掛けと時折現れる会話。一つ一つは小さな違和感なんですが、小さな違和感が蓄積されて徐々に色々な想像をプレイヤーに与えてくれます。

違和感を感じだすと、日常的な会話に見えたものも少し違う視点で見えてしまいます。様々な視点から読めるテキストがとてもよくできています。

そしてこの違和感を生むことで期待させていくことをエンディングにも繋げている印象があります。プレイ時間的には7分ほどでクリアできるのですが、うまくプレイヤーの気持ちを動かしてくれています。

10分以下ながら、少しゾゾッとするような雰囲気を出しつつ、それらを踏まえて全体を通してみるとハートフルな感じに仕上げているのはかなりレベルの高さを感じます。

コンパクトな規模ながらも、会話を通じて生まれる気持ちの揺れ動きを踏まえ物語がストーリーを強く感じさせてくれます。会話がよくできている作品ですので、1週目は普通にプレイしてもらい、2週目はEDを元に再プレイしたりしてみると、違った感覚で遊べる作品ではないかと思います。

まとめ


短いながらも、小さな違和感が生む心の疑念などをうまくゲームとして取り込んでいて、超短編とは思えないほどストーリーを強く意識させてくれる印象のフリーゲーム。心の刺激はある一方で、作品全体はハートフルな感覚を楽しませてくれます。

超短編規模ながら、プレイヤー心理を動かすことで物語性を強く感じさせてくれている印象なので、フリーゲーム制作者さんにも勉強となる要素のあるフリーゲームだと思います。短い時間でクリアできるので、ちょっとドキッとするような展開や物語の先を読むのが好きな人におすすめしたい作品です。

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